東京都庭園美術館に行ったの
東京都庭園美術館の『岡上淑子(おかのうえとしこ) 沈黙の奇蹟』展なるものに行ってました。
内容としては岡上淑子さんというコラージュ作家の作品を集めたもの。
私卒業論文をコラージュ療法でやろうと思ってるので、知らん人だな〜勉強も兼ねて行ってみるか〜〜くらいの気持ちで足を運んだら…
気がついたら図録買ってました。
岡上淑子さんについて
簡単に言うと服飾の学校のデザイン科出て、モード誌メインに女性の素材使ってシュルレアリスムコラージュ作りまくってた人で合ってると思う。最初本人はシュルレアリスムとか全く意識せず作ってたらしい。
テーマはほんとに女の人ばっかなんだけど、腕が突然太くなったり動物が混ざってたり異形頭の人がいたりと結構シュール。でもvogueあたりのモード誌から素材ひっぱってきてるからなんかおしゃれ。
だけど、1950年くらいを中心に作品を作ってたので、半ばの作品は被災経験が全面に押し出されてる。海の上に泣いてる女の人の顔とか、檻の外に両手がぽつんとあるコラージュとか。
これね。
そして彼女は結婚した年にコラージュに限界を感じて作品作りをやめたらしい。制作晩年期はいわゆる「もはや戦後じゃない」の時代で、仕事してる男性の上をふわふわ翻弄してるような作品や自由を讃えて舞い狂ってる女の人とかが多い。
その後は写真に転じたんだそうです。りんごの写真めちゃめちゃ撮ってて強迫性を感じた。
モードとオートクチュールの雪崩
彼女がコラージュを作ってた1950年頃って、ディオールのフレアドレスが出てきたり、とにかくオートクチュール(端的に言えば華やかな1点物ドレス)がめちゃめちゃ元気だった時代じゃないですか。そんなわけで淑子さんのコラージュに出てくる女性はマジでお洋服かわいい…背景の写真のお部屋もかわいかったりする…
唯一写真オッケーだったタペストリー、かわいい。
というのも私、モード史でダントツ好きなのここらへんなんですよ。なのでもうとにかく眼福の一言に尽きる。
ちなみに展示には淑子さんの作った服の型紙とかその時代のクチュールドレスとかもありました。
淑子さん、男嫌いだったりする…?
もう一つ、華やか系以外のコラージュはどこか悲痛なものが多くて一つ一つ時間とって見てしまった。なんかさ、コラージュってある紙からその素材を選択して、切り取って、貼る場所を選択するというひとつひとつの行為に本人の意思決定が反映されるわけでそこにロマンがあると思うんですよ。たとえばこれとか見たときさ、「すごく寂しかったんだろうな」とか思っちゃったわけ。こんなに孤独で真ん中の人はどうやって生きていくの?なんでこんなん作っちゃったん…って
心臓が平手打ちされたような感覚を覚えた
そしてもう1つ同じように感じたのが、戦後しばらくして女性の自由を謳うようなコラージュが増えてきたときに顕著なんですけど、男性がマイナスイメージの作品が多すぎる。働く男性を蹴るバレルーナとか、男性を上から査定するように見下すフクロウとか。
そういうのを見てて、多分この人男性、特に恋愛での異性としての男性があんま好きじゃなかったんじゃないかなあと思ってしまいました。完全に憶測だけど。結婚して作品作りやめたって話もそういう関連があるんじゃないかと思ってしまう。
ほんとに完全に憶測でしかないけど、もっと詳しく言うと美しい女性が好きで男性があんま好きじゃない人だったりしたんじゃないかと。私が割とそういうとこあるからなんとなく共鳴感じたんだけど、ただの勘違いかも。
ありえんダリみが深い
家帰って図録を見返して母に言われてあーーってなったのが、サイズ感や組み合わせのシュールさがめっちゃサルバドール・ダリっぽい。もしかしてダリ好きには刺さるんじゃないかと思うんですよ。
たとえばこれとか
ダリじゃん〜〜
🥑【結論】勉強予定→芸術家で推し増しして終了
最初は卒論の刺激になるかなー?と思って行ったんですよ。でももう完全にお楽しみになって終わった。満足感だけがすごかったです。
こういうかんじで展覧会行って好きな作家や画家が増える体験、すごく好きだから良かったです。ティツィアーノ以来かなあ。
4月7日までらしいから是非気になった方行ってください。学生720円とかいう格安料金だし。そして行った方は私に感想教えてください。語ろ。